平成16年度 年末・年始労働災害防止強調運動の取組み

- 労働局の緊急要請を受け各地で多彩な活動を展開 -
 


 陸運業の「労働災害防止計画」(計画期間 平成15年度から19年度までの5か年)の第2年度に当たり、「死亡災害が年間200人を下回ること」及び「労働災害総件数の20%以上減少」という目標の達成に向けて、「許すまい 過労運転 過積載 あしたの笑顔がみんなの願い」をスローガンに、12月1日から1月31日までを「年末・年始労働災害防止強調運動」期間と定めて、陸災防各都道府県支部及び会員事業場においては、労働局、トラック協会等の支援・協力を得て、交通労働災害及び荷役運搬作業災害の防止に向けた特別の取組みを実施しました。
 陸運業の労働災害の状況は、平成16年度も8月以降、死亡災害は対前年比で増加傾向を示し、休業4日以上の労働災害件数も横這い状態にありました。
こうした状態を受けて、死亡災害や休業災害が増加傾向にある支部では、労働局から当該支部に対し、特段の取組みを行うよう緊急要請が出されています。
当協会では、労働局から特段の取組みを要請された支部、又は死亡者数が対前年比で著しく増加している支部等を重点支援支部に指
定して、年末・年始労働災害防止強調運動期間を中心に多彩な活動を展開してきました。各地の取組みのいくつかを紹介します。

GO  <北海道支部> <宮城県支部>

    <群馬県支部> <長野県支部>

 

○死亡災害急増を受け、地域、事業場で緊急対策
 〈北海道支部の取組み〉
 北海道支部は、管内の死亡災害が6月以降増え続け、12月末(速報値)で対前年比9人増(60%増)の24人に達しました。北海道労働局長から労働災害防止対策の緊急要請があったことを受けて、陸災防支部では、一層危機意識を高め、年末・年始労働災害防止強調運動期間中、支部・各分会・会員事業場が一体となって、次の取組みを実施しました。



<交通事故・労働災害防止大会>

 支部の労働災害防止大会には、北海道労働局長、北海道運輸局技術安全部長、北海道警察本部交通部長が出席され、参加者一同が交通事故・労働災害防止を誓い合った。また、陸災防分会及び地区トラック協会支部では共催などにより、25地区で、延べ4,100人を超える事業主や安全担当者の参加のもと、交通事故・労働災害防止大会を開催し、意識の高揚を図った。

<安全パトロール>
 各労働基準監督署・本部安全管理士・支部・分会の合同パトロールを4地区で実施。また、交通労働災害防止指導員・地区トラック協会職員が、663の会員事業場を訪問して安全衛生管理体制や労働災害防止対策などについて個別指導を行った。

<「労働災害急増中」のシール>
 緊急対策の一環として、全会員事業場に対して、作業場所、設備の緊急点検を行い、危険な設備や作業方法の改善を行うよう呼びかけるとともに、点検の結果により、作業中注意を要する箇所、従業員の目に付きやすい箇所等に、北海道労働局で作成した「労働災害急増中」のシールやステッカーを貼って、注意喚起と安全意識を高めるための取組みを行った。

 

○過労運転事故をなくすツールとして「運転日報管理システム」の普及
  宮城県支部の取り組み

<「運転日報管理システム」の普及>
 宮城県支部では、改善基準告示を遵守した安全な運行計画の作成に役立つツールとして、仙台労働基準監督署の指導・監修のもと、「運転日報管理システム」を開発しました。これは、運転者が手書きで作成し、提出していた運転日報に替えて、マウスを使うだけの簡単な操作で運行実績をパソコンに入力すれば、1勤務及び1ヶ月間の勤務の実働時間、拘束時間、運転時間、休憩時間、休息期間等の集計結果を、改善基準告示に基づき自動的に評価する仕組みになっています。 労使双方の改善への意識の啓発に役立ち、活力ある企業づくりにもつながるものです。
 10月に開催した陸運業交通労働災害防止大会においては、「運転日報管理システムの活用事例」のテーマで、実際にこのシステムを導入し活用している企業の代表者によるパネルディスカッションを行って、活用方法や効果について多くの会員事業場に紹介されました。
 現在、地区ごとに研修会を開催し、全ての会員事業場を対象として普及を図っています。

<パトロール車による街頭広報>
 トラック協会の協力を得て、パトロール車に宣伝用マイクを取付け、12月1日から21日まで各市街地を巡回し、労働災害・交通事故防止を訴えました。宣伝用テープは業者に依頼して製作しました。

 

 

○労働局の緊急要請を受け、各地区で「交通安全・災害事故防止総決起大会」を開催
 群馬県支部の取り組み

<労災防止わが事業場の実践報告会>
 この報告会は、毎年行われており、県内の先進的な災害防止活動を行っている事業場から、具体的な取組み事例を発表してもらい、学び合う場として定着してきています。今回は、日発運輸葛yび潟{ルテックスセイグンの2社からKY活動について現場の実施例を映像で紹介しながら発表があり、また、小林實氏(椛ケ害保険ジャパン顧問)の「これからの安全管理を考える」と題した特別講演があり、一層充実した内容で行われました。

<総決起大会・安全パトロール>
 群馬労働局長の「死亡災害多発に対する緊急対策」の実施要請を受け、各支部・分会で一斉に交通・労災事故防止総決起大会の開催及び安全パトロールの実施を決め、取組まれました。この間、総決起大会は7地区で述べ800名以上の事業者が参加、安全パトロールも9地区で約120社の巡回指導を終えています。
 この取組みに当たって、会員あて緊急アピールを発出するとともに、県警察本部への協力要請も行い、安全大会、安全パトロール、交通安全講習会などに際して、各労働基準監督署、各警察署の全面的な協力のもとに進められました。


○過労運転・飲酒運転の防止対策を重点実施
  〈長野県支部の取組み

<事例研究会での検討・提言>
 長野県支部の事例研究会は、15年度、16年度の2年間にわたり、過労運転及び飲酒運転による事故事例を基に、災害原因の検討と、防止対策の研究を重ね、このほど、その結果を支部長あて提言として取りまとめました。
それぞれ「交通労働災害・事故事例集」(陸災防編)、県警提供の事故事例、JR高速バス事故事例等を基に、原因と対策を研究したものです。
 過労運転防止対策では、〈適正な運行計画の作成〉〈点呼の厳正な実施〉〈計画以外の事態発生時の処置〉〈運行記録の管理と指導〉〈運転者教育の実施〉の項目について具体的な対策が提起されています。
飲酒運転防止対策については、
1.運行管理の徹底
  〈厳正な点呼の実施〉
  〈点呼執行体制の強化〉
  〈アルコール検知器の導入と効果的な活用〉
  〈飲酒運転違反の把握〉
  〈飲酒に関する規制の強化〉
2.運転者の飲酒状況等に係る実態の把握と指導
3.安全意識の高揚〈運転者教育の実施〉〈高揚運動の実施例〉などです。

<飲酒運転撲滅キャンペーン>
 事例研究会の提言を受け、支部では年末・年始労働災害防止強調運動期間中(12月1日〜1月31日)を実施期間として、飲酒運転防止対策の徹底を図りました。
重点実施事項として、
@  運行管理の徹底
  (点呼執行体制の確立、厳正な点呼の実施、飲酒運転防止に関する規制の強化)
A 運転者教育の実施(リーフレットによる教育の実施、飲酒運転防止に関する社内規程の周知)を決め、リーフレット「飲酒運転に警告」を作成、全会員に配布しました。