[平成17年度夏期労働災害防止強調運動]活動報告
当協会では、第10次陸上貨物運送事業労働災害防止計画(平成15年度〜
19年度)に基づき、計画期間中に年間の死亡者数が200人を下回ることを目標にその実現を目指して取り組んでいますが、平成1 6年の死亡者数は2 4
3人で、前年と比較して2人(0 . 8%)増加し、全産業に占める割合は1 5%となり、2年連続して増加するなど憂慮すべき状況にあります。
平成17年度「夏期労働災害防止強調運動」は、『許すまい 過労運転 過積載 あしたの笑顔がみんなの願い』をスローガンに、昨年に引き続き過労運転と過積載による交通労働災害防止を重点として、7月を中心に各地で一斉に多彩な活動が展開されました。特に死亡災害が全国的にみて多く発生している地域又は増加傾向が著しい地域等注意を喚起する必要のある地域については、本部・支部一体となった効果的な取組を強めました。これらの支部においては、支部に設置された「モデル事業場制度」や「交通労働災害事例研究会」等において、死亡事故増加背景要因の分析や交通労働災害防止のためのリスクアセスメントを実施し、必要な対策を講じ、今後の効果的な事故・災害防止対策の実施に役立てる取組を進めました。
また、強調運動の取り組みとして、事業場パトロールを始め、労働災害防止大会の開催、「職場の安全衛生自主点検表」を活用した点検に努めました。
今年に入っても重大災害の増加傾向にあることを踏まえ、厚生労働大臣から各災害防止団体等に対し労働災害防止への緊急要請がなされたことを受けて、陸災防各都道府県支部においても大臣要請を踏まえた取組について周知・啓発に努めていただきました。
また、死亡災害の増加が著しい各県では、地元労働局が緊急対策を実施し、該当する陸災防各県支部に対し対策実施の要請が行われました。該当支部では、これらの局長要請に応じて、対策要綱を作成し、工夫をこらした活動を展開しました。
[死亡事故背景要因の分析]
死亡災害の減少を図るためには、どのような事業場でどのような原因で事故が発生しているのか、特に交通事故の場合は過労運転の要素の有無等を総合的に明らかにし、陸災防支部・分会の関係者が一致した認識をもって今後の対策を立てる必要があります。このため、夏期強調運動支援支部においては、当協会の安全管理士の指導援助の下、「モデル事業場制度」や「交通労働災害防止事例研究会」において「死亡事故背景要因分析シート」を用いて分析資料を取りまとめ、対策を検討しました。
ある支部では、平成16年の交通労働災害についての内容を見ますと、追突が2件、センターラインオーバーが3件、カーブを曲がりきれなかったもの3件など運転側に事故原因のあるものが少なくなく、また、背景には無理な運行計画によるスピードの出し過ぎや疲労、居眠り等安全管理に問題が認められるものなどが見られました。このことから、適正な運転時間を設定した運行計画の作成とこれに基づく安全運転指示の徹底、交通KYTや添乗教育などの重要性が一層浮き彫りになっています。
当協会では、「交通安全運転マップ」を活用したこれらの交通労働災害防止対策を推進しているところですが、こうした取組が一層重要となっています。
[労働局の緊急要請等に応じた取組]
@ 三重県支部:平成16年度の陸運業の死亡災害が多発し、休業災害(4日以上)も増加している中で、労働局から労働災害防止対策の推進を図るよう緊急要請があったことを受け、「労働災害撲滅緊急集会」を津市、四日市市において2度にわたり開催する等して災害防止への取組に向けた決意を新たにしました。これら集会は、会員事業場から128名の参加を得、労働局安全衛生課長、四日市労働監督署長を招き、労働災害の発生状況や撲滅等について講話を受けました。また、安全管理士からは、第10次労働災害防止計画について、かみ砕いた説明をし、組織的・計画的な労働災害防止対策の推進を要請しました。
A 茨城県支部:平成16年度の陸運業の死亡災害が10件(前年6件)と多発している中で、労働災害の防止を図るため陸運災防指導員会議を開催し、労働局安全衛生課長から茨城県内の労働災害発生状況の説明と災防指導があり、また本部管理士から「夏期労働災害防止強調運動」の実施要綱の説明を受けた後、これからの取組について行った協議により、事業場への安全のパトロール等、緊急活動を実施しました。また、広報誌の「茨ト協だより」に労働災害防止の緊急活動の要請」について全会員事業場に周知し、自主点検の実施等の依頼を行いました。具体的には以下のとおりです。
・ 6月1日 会員事業場に対し、安全衛生自主点検表を送付し自主点検を行い、各分会でパトロールを含め点検表を回収(回収事業所約320件)。
・ 6月8日 下館労働基準監督署による「労働災害防止講習会」の開催。
・ 7月12日 「ストップ! 労働災害」の看板を作成、茨城県トラック協会県西研修会館前、国道50号線側に往来する自動車運転者に目立つよう掲示。
・ 7月14日 下館地区の安全パトロールを実施。リスクアセスメントシートを会員事業場に配布し、事業主への取組を要請した。
・ 7月29日 労働局研修会に本部管理士が講師として出席。席上改めて、「夏期労働災害防止強調運動」に対する協力を要請。
B 栃木県支部:
・ 陸運災防推進委員・指導員合同会議を開催、強調月間の実施要綱を説明し、周知についての取組を要請。
・ 「夏期労働災害防止強調運動」実施要綱及び職場の安全衛生自主点検表を会員事業場へF A X/ホームページで周知し、運動への積極的な実施を依頼。
・ 本部から「夏期労働災害防止強調運動」の「のぼり」を購入、全会員に配布。
・ 本部・支部連携し、「夏期労働災害防止強調運動推進会議」を開催し、「死亡事故背景要因分析シート」、「リスクアセスメントシート」、「過重労働を重点とする交通労働災害防止点呼シート」の具体的活用方法と支援支部における取組方について、議論した。
・ 13分会において84事業所のパトロールを実施し、運動への取組要請を行い、併せて「職場の安全衛生自主点検表」を活用し、その取りまとめを行う。
C 石川県支部:
・ 「夏期労働災害防止強調運動実施要綱」と「職場の安全衛生自主点検表」を支部役員事業場・交通労災防止推進員35社へ配布し、周知。
・ 県ト協「いしかわトラックのひろば」6月号に「夏期労働災害防止強調運動の実施について」を掲載し、会員事業場への周知。
・ 支部長名で「緊急情報」として、死亡災害が多発していること及びその取組の強化を図るため、県下の労災発生状況一覧表、ガイドラインのリーフレット、リスクアセスメントシート、点呼シート等を支部役員事業場等33社に配布したほか、広報誌を活用し、全会員事業場に対して周知。
・ 労災防止取組強化の文言に基づき、会員事業場への訪問を実施。
・ 会員事業場への巡回パトロールを実施(7月12日〜22日8日間全12社)。
・ 県の交通安全県民運動街頭キャンペーンに参加。
・ 「運転日報管理システム」を3社に説明の上、その試行について依頼。
・ 交通労災防止点呼シートを15社に送付し、実際に試行してもらうよう要請をし、改善点等についての報告を依頼。
C 鳥取県支部:
・ 「夏期労働災害防止強調運動」について、広報誌を活用して全会員事業場へ周知。
・ 陸災防指導員、支部職員、事業主の三者構成により県内各地をくまなく職場安全パトロールを実施。
・ 支部に懸垂幕を掲示するとともに、会員事業場に対してポスター、安全週間紙のぼり等の配布を行い、災害防止に向けた啓発活動を実施。
・ 県の産業安全衛生大会を主催者の一員として実施