事故の型分類の解説

【定義】事故の型とは、傷病を受けるもととなった起因物が関係した現象をいう。

分類の方法

分類にあたっては、次の各号により適切なものを選択する。

  1. 起因となる物または物質にどのように接触し、またはばく露されたかを示すものを選択する。
  2. 特掲事故(爆発、破裂、火災または交通事故)、有害物との接触または感電を最優先して選択し、その優先順は、爆発、破裂、有害物等との接触、感電、火災、交通事故の順とする。
  3. 特に説明で指示されている場合のほか、2種以上の事故の型が競合する場合ならびに事故の型をきめる判断に迷う場合には、次の順により選択する。
    1. (1)災害防止対策を考える立場での重要度による。
    2. (2)発端となった現象による。
    3. (3)分類番号の若い順による。

分類および分類コード

この分類は21項目の分類とし、分類の名称、コードおよび説明は下別表のとおり。
〔注〕この分類には、おおよそ次の3グループが含まれている。

下記の項目をクリックすると、各々の説明が出ます。

墜落・転落
人が樹木、建築物、足場、機械、乗物、はしご、階段、斜面等から落ちることをいう。乗っていた場所がくずれ、動揺して墜落した場合、砂ビン等による蟻地獄の場合を含む。車輌系機械などとともに転落した場合を含む。交通事故は除く。感電して墜落した場合には感電に分類する。
転倒
人がほぼ同一平面上でころぶ場合をいい、つまずきまたはすべりにより倒れた場合をいう。車輌系機械などとともに転倒した場合を含む。交通事故は除く。感電して倒れた場合には感電に分類する。
激突
墜落、転落および転倒を除き、人が主体となって静止物または動いている物にあたった場合をいい、つり荷、機械の部分等に人からぶつかった場合、飛び降りた場合等をいう。車輌系機械などとともに激突した場合を含む。交通事故は除く。
飛来、落下
飛んでくる物、落ちてくる物等が主体となって人にあたった場合をいう。研削といしの破片、切断片、切削粉等の飛来、その他自分が持っていた物を足の上に落とした場合を含む。容器等の破裂によるものは破裂に分類する。
崩壊、倒壊
堆積した物(はい等も含む)、足場、建築物等がくずれ落ちまたは倒壊して人にあたった場合をいう。立てかけてあった物が倒れた場合、落盤、なだれ、地すべり等の場合を含む。
激突され
飛来落下、崩壊、倒壊を除き、物が主体となって人にあたった場合をいう。つり荷、動いている機械の部分などがあたった場合を含む。
はさまれ、巻き込まれ
物にはさまれる状態および巻き込まれる状態でつぶされ、ねじられる等をいう。プレスの金型、鍛造機のハンマ等による挫滅創等はここに分類する。ひかれる場合を含む。交通事故は除く。
切れ、こすれ
こすられる場合、こすられる状態で切られた場合等をいう。刃物による切れ、工具取扱中の物体による切れ、こすれ等を含む。
踏み抜き
くぎ、金属片等を踏み抜いた場合をいう。床、スレート等を踏み抜いたものを含む。踏み抜いて墜落した場合は墜落に分類する。
おぼれ
水中に墜落しておぼれた場合を含む。
高温・低温の物との接触
高温または低温の物との接触をいう。高温または低温の環境下にばく露された場合を含む。
〔高温の場合〕
火炎、アーク、溶融状態の金属、湯、水蒸気等に接触した場合をいう。炉前作業の熱中症等高温環境下にばく露された場合を含む。
〔低温の場合〕
冷凍庫内等低温の環境下にばく露された場合を含む。
有害物等との接触
放射線による被ばく、有害光線による障害、CO中毒、酸素欠乏症ならびに高気圧、低気圧等有害環境下にばく露された場合を含む。
感電
帯電体にふれ、または放電により人が衝撃を受けた場合をいう。
〔起因物との関係〕
金属製カバー、金属材料等を媒体として感電した場合の起因物は、これらが接触した当該設備、機械装置に分類する
爆発
圧力の急激な発生または開放の結果として、爆音をともなう膨張等が起こる場合をいう。
破裂を除く。水蒸気爆発を含む。容器、装置等の内部で爆発した場合は、容器、装置等が破裂した場合であってもここに分類する。
〔起因物との関係〕
容器、装置等の内部で爆発した場合の起因物は、当該容器装置等に分類する。
容器、装置等から内容物が取り出されまたは漏えいした状態で当該物質が爆発した場合の起因物は、当該容器、装置に分類せず、当該内容物に分類する。
破裂
容器、または装置が物理的な圧力によって破裂した場合をいう。圧かいを含む。研削といしの破裂等機械的な破裂は飛来落下に分類する。
〔起因物との関係〕
起因物としてはボイラー、圧力容器、ボンベ、科学設備等がある。
火災
〔起因物との関係〕
危険物の火災においては危険物を起因物とし、危険物以外の場合においては火源となったものを起因物とする。
交通事故(道路)
交通事故のうち道路交通法適用の場合をいう。
交通事故(その他)
交通事故のうち、船舶、航空機および公共輸送用の列車、電車等による事故をいう。
公共輸送用の列車、電車等を除き、事業場構内における交通事故はそれぞれ該当項目に分類する。
動作の反動、無理な動作
上記に分類されない場合であって、重い物を持ち上げて腰をぎっくりさせたというように身体の動き、不自然な姿勢、動作の反動などが起因して、すじをちがえる、くじく、ぎっくり腰およびこれに類似した状態になる場合をいう。
バランスを失って墜落、重い物をもちすぎて転倒等の場合は無理な動作等が関係したものであっても、墜落、転倒に分類する。
その他
上記のいずれにも分類されない傷の化膿、破傷風等をいう。
分類不能
分類する判断資料に欠け、分類困難な場合をいう。

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