労働災害統計用語の基礎知識

労働災害とは

労働安全衛生法では、労働災害について「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。」と定義されています。
なお、災害は現象面でとらえると物だけ、あるいは人だけが原因で起こる場合もありますが、大部分は「物」の不安全な状態と「人」の不安全な行動が異常接触して発生するといわれています。(下図参照)

【災害発生のモデル図】

事故の型とは

厚生労働省(旧労働省)で昭和47年に公表された、事故の型および起因物分類において用いられている用語で、「傷病を受けるもととなった起因物が関係した現象」と定義されています。災害発生のメカニズムを物と人とが組み合わせれた接触現象が「事故の型」です。
この分類における事故の型は、墜落・転落、飛来・落下等の21分類から構成されています。

事故の型分類

起因物とは

「災害をもたらすもととなった機械、装置もしくはその他の物または環境等をいう。」と定義されています。起因物は災害のもととまることから、一般的には不安全な状態があったものを示すこととされています。
この分類における起因物は、動力機械、物上げ装置、運搬機械等の大分類8項目と、24の中分類、87の小分類から構成されています。

起因物分類

年千人率とは

災害発生率の一表現形式で、在籍労働者千人当たり年間の死傷者数の割合を示したものです。

H元 3 5 7 9 11 13 15 16 17 18 19 20 21
全産業 5.0 4.3 4.0 3.5 3.2 2.8 2.7 2.6 2.5 2.4 2.4 2.3 2.3 2.0
陸運業 15.3 12.6 10.8 9.8 11.1 9.8 10.0 9.3 8.9 8.4 8.3 8.2 7.9 6.4

(休業4日以上、厚生労働省「労働者災害補償保険事業年報」、「労災保険給付データ」より)

度数率とは

100万延労働時間当たりの労働災害による死傷者数の割合です。

H元 3 5 7 9 11 13 15 17 18 19 20 21 22
全産業 2.05 1.92 2.07 1.88 1.75 1.80 1.81 1.78 1.95 1.90 1.83 1.75 1.67 1.61
一般貨物 5.41 4.50 3.59 4.52 3.30 3.67 3.57 3.18 3.52 2.74 3.93 3.60 4.11 3.36
特定貨物 3.07 2.39 1.25 0.98 2.37 3.08 2.63 2.36 1.74 1.54 3.17 0.87 1.67 1.95

(規模100人以上、休業1日以上、厚生労働省「労働災害動向調査」より)

強度率(災害強度率)とは

災害の重軽度合を表現する形式で、千延労働時間当たりの労働損失日数の割合です。

労働損失日数は、次によって算出します。

  1. 死亡7,500日
  2. 身体障害を伴うもの(下表)
    身体障害等級 1-3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
    労働損失日数 7,500 5,500 4,000 3,000 2,200 1,500 1,000 600 400 200 100 50
  3. 身体障害を伴わないもの

【強度率の推移】

H元 3 5 7 9 11 13 15 17 18 19 20 21 22
全産業 0.2 0.17 0.18 0.19 0.16 0.14 0.13 0.12 0.12 0.12 0.11 0.10 0.09 0.09
一般貨物 0.71 0.56 0.4 0.79 0.43 0.57 0.25 0.26 0.61 0.31 0.33 0.16 0.43 0.1
特定貨物 0.07 0.13 0.04 0.03 0.09 0.21 0.33 0.08 0.07 0.06 0.13 0.05 0.04 0.04

(規模100人以上、休業1日以上、厚生労働省「労働災害動向調査」より)